株式会社T.E.S.T 戸張
「こんなアイテムあればいいのに」
そんな“現場の声”から生まれた商品です。
2020年9月にトップスの子会社として設立された株式会社T.E.S.T。
ホビー、おもちゃ制作の企画を得意とするT.E.S.Tが開発した新商品「NOZON」とは?
トップスとの関係や共同事業も含めて明らかに。
うまく手を取り合うパートナーに
株式会社T.E.S.Tの事業内容は?
おもちゃの企画がメイン事業です。
自分たちで企画を作って売り込むというよりは、ご依頼を受けて企画する形が多いです。
たとえば、クライアント様から「ホビー業界に参入したい」とご相談頂いた時は、どんなブランド/メーカーになりたいか?どんな商品を出したいのか?
ヒアリングした上で、各メーカーからどんな商品が出ていて、どんなものが人気なのか…など、ホビー業界の現状マップを踏まえつつ、色々考えながら提案、企画を行っていますね。
トップスとの関わりについて
トップスは親会社にあたりますが、実際の経営や業務にトップスの干渉は一切ありません。
もちろんトップスと共同で行う事業の企画や設計をしたりすることはあります。
ただ、基本的にプランニング(企画)と生産では役割が違うので、やりたいことや作りたいものを安価で忠実に作るために、“パートナー”としてうまく手を取り合っていくのがT.E.S.Tとトップスの関係ですね。
トップスとの共同事業で代表的なものは?
今回新しく開発した「NOZON」という商品の他に、代表的なものとしては「可動フィギュア」の開発です。
漫画家の弐瓶勉さんの作品に出てくる「東亜重工」という架空の企業というか組織があるんですが、このフィギュアはその世界観に沿ってオリジナルで作ったものですね。
サイズにもよりますが、国内と海外だと海外の方が6割…多い時だと7割8割は占めるような商品です。
元々は「かっこいいもの」として買ってもらうつもりで作っていたんですが、今は漫画や絵を描く人にとってのデッサン人形としての需要が高まっているみたいですね。
有名な漫画家さんたちが使ってるという情報が広まってからは、何度再販しても売り切れてしまうような状態で、人気商品のひとつになっています。
世界で誰も作っていないものを生み出す喜び
今回新しく開発した「NOZON」はどういう商品か?
簡単にいうと、洋服を綺麗に簡単に撮影するための「ハンガー」ですね。
マグネットを使った特殊な形状のハンガーで、付属のバーを壁に両面テープなどで貼りつけて、そこに「NOZON」を装着した服を固定して誰でも洋服をシワなく綺麗に撮影できるんですよ。
僕が知る限りではまだ世界で誰も作ってないので、このハンガーは革命的だと思ってます。
「NOZON」を開発したきっかけは?
開発を始めたのは、アパレル業界もECサイトでの販売に舵を切っていた頃です。
洋服の撮影はECサイトでは必須ですが、モデルさんが洋服を着るだけでなく、商品単体の写真も必要なので、床に置いたり、壁に貼り付けたりして撮影することが多いんですけど、実はこれがものすごく大変な作業なんですよね。
できるだけ綺麗に商品を見せるために、真上から撮影したり、ハンガーの角度を色々変えたり、画像編集ソフトを使ったりして、Tシャツ1枚を撮影するのに15分以上かかることもあるんです。
それで友達のカメラマンが自身の経験値を元に自ら作った試作品を持って来て僕に「商品にしたい」と相談されたのがきっかけですね。
すぐに商品化を進めていったんです。
商品を制作する上で苦労したことは?
私たちの会社で作っているメインは「おもちゃ」なので、それに比べると「NOZON」の作りは比較的シンプルです。
ただ、この商品は国内だけでなく海外に向けても販売したかったんですよ。
そうなると、商品を輸送する工程を考えなければなりません。
「NOZON」はマグネットを使った商品なので、空輸する時に磁力が外に漏れないようにしないといけなくて。そういう国際的な規格に合わせる作業が1番大変でしたね。
実際に「NOZON」を販売してみて、お客様からの反応は?
実際に商品を手に取ってもらうと、皆さんすごく良い反応をしてくださいます。
ECサイトでの活用はもちろんですが、アパレルのショップの店頭展示でも使えますし、古着屋さんがSNSを通して新商品を紹介する時にも便利だとご好評いただいています。
特に、今はどちらかというと大手のアパレルブランドというよりも、ベンチャー的な小規模ブランドの方。
さらにいえば、“インターネット・SNSをわかってる”若い世代の方が「NOZON」を積極的に導入してくださるという印象です。
今の若い方って、子供の頃からスマホで気軽に写真撮影をしたり、ネットで買い物をするのが当たり前の世代なので、「綺麗な良い写真が早く綺麗に撮れる」というところにしっかり価値を置いてくれるんですよね。
「NOZON」はプロ仕様の機材のひとつとして開発したものなので、一般的なハンガーに比べるとそれなりの値段もします。
その上で長い目でみた時に、その値段分の価値がどれだけプラスになるかを考えて、前向きに導入していただけるのが嬉しいですね。
主役じゃなくていい
モノ作りの名脇役でありたい
NOZONという商品における今後の展開について
「NOZON」は、必要としている人に長く愛される商品になればいいなと。
プロ仕様の機材のひとつとして開発したものなので、急激にドカンと売れるようなものではなく、口コミでじわじわと存在が浸透していくようなイメージです。
ECサイトでのアパレル販売はさらに増えていくと思うので、国内でも海外でも継続的に生産・販売していきたいですね。
初めて「NOZON」を導入する方や、興味を持ってくださる方に向けて、公式サイトやYouTubeで詳しい「How To動画」も公開していますし、都内であればスタジオに来て頂いて実際に使用方法をお教えすることもあります。
そのようなフォロー体制にも力を入れつつ、「NOZON」を浸透させていきたいと思っています。
T.E.S.T全体としての展望は?
業界歴も長いですし、自ら企画してどんどん新しい商品を作っていくタームではなくというより、うちに「こういう商品を作りたい」「こういうことをしたい」と相談してくださるクライアント様と一緒に企画から立ち上げて進めていくことが多いです。
クライアント様もまだ方向性が定まっていなかったり、どうすればいいのか迷っている状態でご相談頂くこともありますが、そこから実際にブランド/商品を生み出すまで、本格的にコンサルティングしていく作業は、すごく楽しいんですよ。
本気で取り組めば取り込むほど良いものが生まれるので、メイン事業のホビー・おもちゃ系の企画には引き続き力を入れたいです。