株式会社TLT 工場長 濱田

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株式会社トップスのグループ会社として2015年に設立された株式会社TLT。圧倒的低コストの中国工場ではなく、あえて国内初のラバー工場を作った意外な理由とは?三代目工場長の濱田が工場設立までの経緯や当時の苦労、国内工場ならではのメリットや今後の展望を語る。

『わずか3ヶ月』だから日本で作るしかない

国内初のラバー工場ということですが、設立はいつ頃でしょうか?

工場設立は2015年ですね。今6年目になります。

それまでは国外で作るのが普通だったんですか?

はい。基本的には日本のメーカーでも中国で作るのが一般的でした。

ラバー工場ということなのですが、主にどんなものを作っているんですか?

まず材料としてはPVC(ポリ塩化ビニル)を粉状にしたものと可塑剤という油、そこに安定剤を入れ、素材としてのラバーができるんです。そこから製品を作っています。

中国製が一般的だった中で日本国内に工場を作ることになったのはどうしてですか?

一番の理由はグッズの「納期」なんですよ。
すごくわかりやすい例がアニメなんですけど、結構アニメとか観る方ですか?

はい。結構観る方だと思います(笑)

今のアニメって3ヶ月クールで進んで行くので、ものすごくサイクルが早いんです。
人気のアニメは当然グッズとかも出ますよね?

昨今、我々が手掛けているラバーグッズを購入頂いているお客様はわりと新しもの好きで、そのアニメがやっている時は大好きだけど、放送が終わってしまうと、次の新作アニメに移っちゃうんですよ。

そう言われると、たしかにそうですね。

っていうことは、そのアニメをやってる3ヶ月のうちに商品を作って店頭に出さなきゃいけない。
たった「3ヶ月」しかないんです。昔は半年とか、もうちょっと長めのサイクルだったので、1つのアニメの勢いというかアニメの勢いというか人気のある期間も長かったんですよね。

だから我々はその3ヶ月以内に商品を出さなきゃいけない。つまり短納期でやらなきゃいけない。
短納期でできるグッズは缶バッジやアクリル。あとはクリアファイルなどの刷り物。この辺はできるんです。
でも我々は色んな商品を作っているので、「このスターティンググッズの中にラバー製品も入れたいね」ということになりまして。

なるほど。グッズ製作にも「3ヶ月」っていうリミットがあるんですね。

中国で作っても色や品質のチェックがスムーズにいくとは限らないので。
確認作業に時間を取られて納期的に間に合わないってこともあるんです。「じゃあアニメをやっている3ヶ月で世に出すには、日本で作るしかないんじゃないか?」という話になったんです。

短納期でグッズを作るための国内工場なんですね。

はい。要はアニメがやっている3ヶ月間の「旬」のうちにラバーを市場に出すっていうのがこの工場の最大のミッションなんです。

国内初の技術を確立する難しさ

国内初のラバー工場ということで、設立時は苦労されたんじゃないですか?

そうですね。やはり日本で他にやっている会社がないので機械や材料は基本中国のものなんですよ。なので、当然説明書とかも中国語で(笑)最初は全然作ることもままならなくて徹夜で作業とかもしてましたね。技術を確立するまでは大変でした。今でも試行錯誤してるんですけど、現在も苦労はしてますね。

働いていらっしゃる皆さんにもイチから教えるところから始めたんですか?

はい。最初は「自動でわりと簡単にできるんじゃないか?」って思っていたんですけど、やっぱり技術的な部分が結構あったので。当時は中国人の方6名くらいを派遣してもらって、そこで技術を教わりながら…っていう感じでした。今は日本人だけでやってます。

検品って1つ1つ手作業で確認していくんですよね?

そうです。検品も調色も全て日本でやるので。ラバーに気泡が出てないか見たり、色漏れがないか確認したりとか。苦労する作業ですけど、その辺は細かく見ています。

『コスト面は敵わない』だからこそ

すごくシンプルに気になったんですけど、中国製と日本製だとコスト面って変わりますか?

やはり中国は人件費も安いので。大ロットだと正直敵わないです。
でも小ロットだと逆に「中国だと作ってくれないので」っていうお客様もいっぱいいて。小ロットの案件は結構多くなっています。コスト面でいうとやっぱり中国が安いです。だからこそ、「納期と品質で勝負!」っていう感じですね。

今、品質についてのお話も出たんですが、一般的な中国製と日本製で明確な違いは?

キャラクターの指定の色などすべて工場内で調色もしていくので、色のニュアンスがかなり伝わりやすいと思います。よくお客様から「中国で作ったんだけど全然違う色の物ができちゃった」とか相談を頂きます。

なるほど。ちなみに納期のスピード感はどのくらい差がありますか?

中国製の場合は色にこだわりがあったりすると、まず色の確認だけで5回10回やるって聞いたりもします。量産自体はそんなに変わらないと思うのですが、その辺でやっぱり時間かかっちゃいますよね。納期のスピードは確認作業とサンプルの速さによると思います。
国内で作るなら、いざとなったら工場に来て頂いて直接確認してもらうこともできるので、その点は大きいかと。

注文してから納期までだいたいどのくらいでできるんですか?

たとえば注文個数が1000個くらいなら、1ヶ月くらいです。
サンプル確認で2週間、量産で2週間くらいです。それを中国で作るとしたら…サンプルをOKできる速さ次第なんですけど、それでもやっぱり輸入の工程とかもあるので、1.5倍の時間はかかると思います。

アクリルとラバーのコラボ商品の開発へ

これからの展望は?

今、インクジェットの機械でラバーに色差しで再現できない部分を印刷したりとか、そういうプリント技術も使ったりしているんですけど。実はその機械でアクリルも印刷できるんですよ。ただ、カット機が今までなかったので、今後カット機も導入してアクリル商品も事業としてやっていこうと。

アクリルも短納期でできるということでしょうか?

アクリルはもともと早いんですよ。
印刷してカットする製法なので、アクリルとラバーをコラボした商品とかもどんどん開発していきたいと思ってます。

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